1970年代、『世界の料理ショー』という料理バラエティ番組がありました。
再放送が何度かされているようなので、知っている方も多いかも?
グラハム・カー(英語では”グレアム・ケア”が近い)というイギリス人がホストで、日本では1974年から1979年まで放送されました。
歳を取ると子供の時に好きだったものを思い出す、そんな感じかと思われますが(汗)本当に最近よく思い出すのです。
当時幼稚園児〜小学生だった私は、この番組で「外国ってすげぇー」の洗礼を受けました。
外国だからってすごいってわけではないんですが、70年代はまだ海外旅行も珍しかったので「アメリカではこれが普通なんだ〜*」と、幼い私にとってはすごいカルチャーショックだったんです。
(*実際はカナダの番組。当時、外国=アメリカだと思っていた)
この『世界の料理ショー』ですが、今この時期だからこそオススメでもあります。
- 今見ても異国情緒があって、ちょっと旅行気分を味わえる
- クセは強いが、料理をしながらずっとバカな話をしているので、心の清涼剤(?)になる
- グラハム・カーが世界各地を旅行し食べる映像が紹介されるので、時空のトラベラーになれる(50年前の映像ですから)
というわけで、今日はこの『世界の料理ショー』とホストのグラハム・カーをご紹介します。
『世界の料理ショー』とは
『世界の料理ショー』は日本では1974年から1979年まで放映されたテレビ番組です。
イギリス人料理研究家であるグラハム・カー(グレアム・ケア)の番組で、現地カナダでは1969年から1971年まで放映。
グラハムが奥様と訪れる世界各地の旅先で食べたものをスタジオで再現する、という構成でした。
海外旅行に行けずに鬱屈としている方
海外へ行くとローカルに食い倒れる方(梅干しや味噌汁の入る余地はない方)
海外の気分を味わいながら、ちょっと笑いたい方
ポイント1:材料が入手できない
太っ腹なことに、ウェブサイトにはレシピも載っています。

70年代当時、日本では入手できない材料のオンパレードで、『世界の料理ショー』を今晩のおかずの参考にした人はほとんどいなかったはず。
あくまでエンターテインメント・ショーでしたから。
が、今の日本になら何でもあります。
今なら夕食に作れるものもたくさんあるかも?!

全然ダメですね!
50年の時を経てなお、依然容易に入手できない材料。
ラムが有名なニュージーランドでも普通のスーパーでは売っていません…
世界のアメリカなら手に入るんでしょうか?
でもでも、これが逆に異国情緒をかき立てるのです。
日本人には新鮮な、見たことのない夢のような料理ばかり。おとぎの国を見ているような気分でした。
ポイント2:脂肪分の多い料理
さらにすごいことに、毎度使われるすごい量のバター、クリーム、脂肪。
特にバターは、すっごい塊を何でもないように「ぼてっ」と鍋に放り込んだりするんですが、子供ながらに「うげぇー(おとぎの国ではこれを普段食べるんだ…)」と思ったものです。
当時、特にバターは体に悪いと言われていて(値段も高いし)その代替品としてマーガリンが普及していたというのもあります。
(ただ、調べてみたところ、当時の西洋社会でも普通の食事ではなかったようです。肥満増加の元凶と非難されたり「快楽主義の司祭」のレッテルを貼られたりしたようなので。)
ポイント3:テキトーなホスト
- ワイン飲みながら料理
- えっ、道具や食材をあんなに乱雑に扱っちゃって…
- ワイン180ccと言いながら、計量せずにボトルからどばーー
- 料理中も延々とバカバカしい話ばかり…
ちょっと焦げても平気、型から抜けなくても平気、テキトー具合には度肝を抜かれました。
でも子供心に楽しそうに料理してていいなーとも思っていました。
ポイント4:素敵なキッチン・ツールの数々
今の日本では普通にありますが、昭和のあの時代、大きな冷蔵庫、電動ミキサー、ヘラみたいな包丁みたいな道具(?)は珍しかったように思います。
少なくともうちにはなくて、電動ミキサーを初めて購入したのは社会人になってからでした(笑)
もうホントに「外国に行ったら、あんな素敵な道具があるんだ〜」って憧れを持って見てました。
ポイント5:日本語版が秀逸
必ずしもオリジナルに忠実ではないですが(冗談は言語が変わると通じないことが多いですしね)、翻訳・脚色・声優さんなどなど揃って優秀と思うのは私だけではないはず!
テキトーさ加減をさらに引き立てています。
英語がわかるようになった今英語版を見てみましたが、「ザ・イギリス英語!」で逆にびっくり(小さい時はアメリカ人だと思っていたからなぁ)。
それでもテキトーな感じはわかったので、その上を行くテキトーさを再現している日本語版は、改めて素晴らしいと感じました。
『世界の料理ショー』なら、私は今でも日本語吹き替え版で見るでしょう。
ちなみに、日本語版では「スティーブ」が毎回のように出てきますが、英語版では少ししか出ていないようです。
グラハム・カーは今?
結論:グラハム・カーは今も健在です!
アメリカ・ワシントン州に住み、86歳となった今でもクリエイティブ・ライフスタイル・コンサルタントとして活躍されているようです。
他につい最近もこんな動画がアップロードされています。
いつも3時にお茶を飲むから、こうやってふたりでお茶を飲むのもいいかなと思ってね…という企画のようです。
お茶(a cup of tea)とは、アメリカ在住でも、何ともイギリス人らしい発言。
まだまだ元気でうれしい限り!
1970年代にボーン・アゲイン・クリスチャンに改宗したグラハム・カーは、その後のテレビ番組でもキリスト教の要素を取り入れて、カロリーの低い健康的な食事を紹介していたようです。
『世界の料理ショー』が日本で人気を博していた時、すでにグラハムは健康志向に転換していたことになりますね。
さらに1980年代に奥様のが脳溢血そして心臓発作で倒れてからは、リスクをminimise(最小化)し風味をmaximise(最大化)する、Minimaxという新しいスタイルを提唱し始めました。
まとめ
私の隠れた趣味で、活躍し続けるいい顔をしたベテランの方がどういう人生を歩んできたのか調べるのが好きなんですが(笑)、グラハムはその意味でも逸材です(失礼な言い方ですけど)!
長年連れ添った奥様が亡くなった後も、シニアのキリスト教コミュニティに貢献し、若い人とも交流し充実した日々を送っていらっしゃるようです。
キリスト教とは、『世界の料理ショー』ファンから見たらちょっと意外なんですけど(私は無宗教ですし)、生きがいをもって社会に貢献している方は楽しそうで輝いて見えるんだな〜と今のグラハム・カーを見て思います。
それにしても『世界の料理ショー』は「肥満増加の元凶」とされるなど批判がありながらも、やっぱり子供時代の楽しいキラキラした思い出であるには変わりません。
(ちなみに、うちのパートナーのモウさん曰く「グラハム・カーのせいで肥満が増えたんじゃない。家庭でたまにちょっと多くバターを使ったくらいで肥満は増えない。マクドナルドなんかのファーストフードが原因だ!」と吠えています。モウさんもグラハム・カーの大ファンなんです。笑)
そして自粛中のお供にオススメです♡
旅行に行けない食べるのが好きな方は見てみてくださいね。